ジョイスティックを改造してみる
2010年6月某日、俺は、昨年改造したリアルアーケードVFステ(以後RAVFステ)のボタン配置がどうにも気に入らず、一般的なアストロ配置にするにはどうしたらよいのかと悩んでいた。
天板をつくろうにも板金屋のつてなどなく、主にネットでの個人向け板金サービスあたりに発注した際の工賃の不透明さに途方に暮れていた俺は、諦めて6ボタンの鉄拳4スティックをヤフオクし、速攻分解し天板を正確に採寸し、アクリル板かアルミ板で天板を作成する方向性で検討していた。
採寸後の鉄拳4スティックは、ヘタり気味のVFでいうところのG・P・Kのボタンを、その他のあまり使わないボタンと交換するサービスを行ったあと、その旨をアピールしつつ再度ヤフオクで売却する。送料込みで\4000くらいかな?これでカンペキ☆ミ
..............................!?
つうか鉄拳4ステ\7500超えてんじゃんwwwWWww
うはっ中古なのにwwWWWwww
ばかばかしいwww
......うーん困った。
とかいうゲーヲタライクな誰にも共感してもらえない揺れる気持ち全開のまま、ヤフオクの検索窓に『VSHG』とか『鉄拳 スティック』とか入力しエンターしてみたところ、明らかに他の出品物とは異質のブッタイが目に飛び込んできた。
猛烈な錆びに襲われているコヤツは、まるっきりゴミにしか見えない。
というか多分ゴミから拾ってきて出品しただろうそれは、ボタンが一つ足りてない。
\100だし。
なんじゃこりゃぁ。
それが鉄拳TAGスティックとの出会いなのでした。
\15,000のRAP3を改造するのは、妙な精神的な抵抗を超える苦痛が伴なうが、\100ならその障害はないので好きなようにできる。
買ってみたんだけど失敗が怖いので使えなかった剥離剤をベタベタ塗れるとか、真っ黒になるまで何度でも使えるのに全然透明度を保っているバイク用の錆取り液に突っ込むとか、工作機械用でモリブデンはすぐなくなるのに全然減ってくれないシリコングリースを塗るとか、10年前に2/3使って余ってるソフト99のプラサフはまだ使えるのか確かめてみたいとか、その上に498円の妙に安いラッカー塗ってどうなるのかとか、とりあえず頭の上から放り投げて壊れないか確認できるとか。
第一、俺が落札しなけりゃ落札されずゴミ行きだろうなと。
とかもろもろの事もあったが、ホリの基板は同時押しはどうなのか、ということを確認してみたかったのが落札してみた一番の理由なのである。
昨年作ったRAVF'改造PS/PS2向けスティックは、PS1用のSONY純正パッドの基板を使い乗っ取っているのだが、この純正パッドはどうも同時押しが弱い。
実際に鉄拳TAGをプレイした時は、左右の蹴りを同時に押すコマンドは、同時押しを意識しタイミングよく◯×ボタンを同時に押しても、10発中7発は不発に終わるのだ。
それはやっぱり基板のせいなのか。それともソフトウェアのキー入力処理が昭和60年代の優しくないやり方なのか。
でもその前に綺麗にするか。
錆や汚れは酷いものの、いい具合にヘタったレバーは三和的にユルユル。ボタンはok。
.....。猛烈に錆びてます。ゴム足には土(うわぁ。でも土に戻る前のバイクより全然マシ。
ステッカーとゴム足を剥いでみる。外気に直接触れないところは新品同然。
TTステ内部。他の基板を流用せず、専用基板使ってます。レバー、ガワはRAVFと同じ。
天板の塗装を剥いでみた。アサヒペンの剥離剤やラッカーシンナーなど様々つかってます。
天板とガワの隙間の埃が水分を吸い錆が成長したようだ。黒化した錆も見える
底面は見た目が凄いが表面の赤錆のみ。紙ヤスリで綺麗になるレベルでたいしたことはない。
かなり綺麗な裏面。指紋のあとがない。一度も中を開けられてないようだ。
レバーシャフトと天板ネジも錆びが..。でもケミカルの前ではたいしたことはないのです。
トレイに部品と錆取液を入れる。ラップで覆い地面に置くことで直射日光により液温を上げる。
ドブ漬け4時間後。錆は綺麗に取れました。しかし錆のあった部分は荒れてます。
裏面。あまり綺麗ではない。何故でしょうか?
底板。目視では十分綺麗になったが写真を撮ると赤い。軽くヤスリ掛けしもう一度浸ける。
底板裏面。こちらは全然綺麗。元の亜鉛メッキは溶けてしまったのでしょうか。
レバーに黒錆。錆取液は黒錆は処理できません。ネジの凹部の赤錆は、水切りが不十分だったので速攻錆びました。
レバーにピカールをつけて、ボンスター(金たわし)で磨きました。十分です。ゴム足は古い歯ブラシで清掃しました。
錆取り二回目の天板。あまり変わらず
裏面。なんか模様が(汗。どうも錆取液中で発生した気泡が底面に張り付き、その箇所は錆取りが弱くなるようだ。
錆取り二回目の底板。満足な仕上がり。
天板を中性洗剤で脱脂し、日光で乾燥後、すぐにプラサフを塗布します。サビ防止と荒れたところを均す効果があります。
外で塗るときは、風のない日に塗装しないと失敗します。また塗装の前に水を撒き、歩いても埃が上がらないようにします。
鉄拳TAGステは4ボタンはアストロ配置のようだ。CHGボタンは1~2mm下がっている。
黒の本塗装。缶スプレーは、天板から20cm離し、右から左に約2秒で往復すると、垂れる直前まで塗れツルテカになる。
基板。SELECTはジャンパ抵抗JP3を外すと自由に使える。L1~R2はJP2-1の上の4箇所からボタンに配線すれば増設できる。
◯ボタンと×ボタンを交換する。パターンカットを二箇所行いつなぎ直す。
底板にゴム足を貼り直す。両面テープはセリアのプラ/金属用。十分な接着力なのに綺麗に剥がせる。
AZのシリコングリースを塗る。ちょっと塗りすぎ。AZは純正より粘りがあり固く感じる。
テレビの熱で乾燥を促す。ラッカーは持ち歩ける程度に乾燥するまで3日、機器組込みまで2週間は欲しい。
ボタンを取り付け基板をハンダ付け。10分で完了。一つ一つ配線するより遥かに簡単。
映り込みが甘い。プラサフの段階で徹底的に平らに磨いたほうがよかったか。いやキモヲタ(俺...)の顔が映らないこれが最良?
オーバーホール完了。元の天板はツヤ消し黒だが、ボタン枠がテカってるのでツヤ有り黒仕様。ネジの表面も塗ってます。
底板。綺麗です。満足満足。錆取液には、塗料ほどではないもののサビ防止効果もあります。
改修完了しました。
元の写真と比較すると、ずいぶん小奇麗になりました。
新品ほどではありませんが、十分でしょう。
レバーは、バネが使い込まれていて、ずいぶんと柔らかくなっています。使いやすいです。
ボタンは、RAVFボタンよりはガタが大きくなりましたが、ファイティングスティックSSほどでありません。
押し返しが強く、押すと『ペチン』という感じの音とともにしっかりした押下感があります。好きな感じです。
ボタンは◯と×を交換しましたが、これは自分がDCとか箱のハードばかり、主にヴァンパイアとDOA2とDOA3とDOA2Uばかり遊んでたので、その癖がついてるので変更しました。
PSではよく間違うのでイライラするのです。
天板は、ラッカースプレーで塗装した為、親指で強く押すと綺麗に指紋の形がうつります。しかし一日おくとその形が元に戻ります。塗膜に弾力があるのです。なかなか面白いです。
ギターの塗料にもいまだにラッカーが使われたりしますが、ウレタン等ガチガチに固まる塗料だとギターのボディの響きを邪魔する為だそうです。
果たして、鉄拳TAGでの同時押しはどうなるのか.....。
じつは未だに確認せず..。
このスティックは改修後に非常に気に入ってしまい、ソウルキャリバー2/3とPS3用の4(変換器入れてます)を散々遊んでたり..するわけですよ。こちらは鉄拳TAGほど同時押しに厳しくないので、いままで確認することをしておりませんでした。鉄拳6をDL購入してみたら確認してみよう。