ジョイスティックを改造してみる
2000年よりも結構昔の1994年11月、SS用バーチャファイターが発売されました。爆発的に売れたソフトであり、当然ながらユーザーは良質のスティックの発売を望みました。
SS用のロクなスティックのないまま一年が過ぎた1995年12月、ようやくHORIからアーケードの操作感をそのままに楽しむというコンセプトのもと、ゲームで使うメイン3ボタンとスタート1ボタンという、実に挑戦的な仕様のスティックが発売されました。それがリアルアーケードVFです。
RAVFは、レバーの感触はほぼアーケードそのままであり、コンパクトで尚且つ安定性もよいと、実によくできています。しかしやはり3ボタンでは、他の格闘ゲームに対応できません。
特にSSに大量に移植されたカプコンの2D格闘ゲームは、そのほとんどが6ボタンを必要とします。また当時のアーケードのスト2コンパネはセイミツのパーツを使用しているので、サンワパーツに近い感触のRAVFでは操作感があからさまに違います。
他にコナミやタイトーのシューティングも、セイミツパーツのパネルを使用していたようです。これらシューティングの移植再現度も非常に良いので、2D格ゲーのみならずシューティングにも使えるスティックになると嬉しいです。
というわけで、RAVFを6ボタンにするべく3ボタンを追加し、またレバーもセイミツのLS-32に変更する改造に踏み切りました。
なお、この改造をするにあたって、2chスティック改造スレ群と及び画像掲示板、まとめwiki、そしてえすの惰性日記: 斑鳩スティック制作レポを参考にさせて頂きました。とくにレバーの交換の部分はまるまるそのままです。
既に穴が開いている状態。ズレてます。ホールソーはモノタロウのショップオリジナル。
底板にレバーシャフトが接触するので穴を開けました。指紋の跡の錆もなんとかします。
天板をスキャンし、画像ファイルから図面を起こし、追加する穴を適当に配置しました。
RAVFスティックのガワ本体。このガワは鉄拳4ステまで長らく使われました。
ガワ内部。
レバー取付部。LS-32を取り付ける為に元レバーの取付用突起を削り取る必要があります。
削ると後には戻れません。完成状態をイメージするために、削る前に天板を取り付けてみます。
削り取りました。ニッパで大雑把に折り、カッター/彫刻刀でほぼ平らにし、サンドペーパーを180番/400番/600番とかけました。
レバーを取り付けてみました。青い懸架台がなかなか入らないので、上下左右と少しずつネジを締めて均等に力をかけます。
拡大図。レバーもUSEDなので、錆をとりピカールで磨き、IPAアルコールで洗浄した後グリスアップ。
反対側。最初は24Φであけましたが、天板は傾斜しているので上にレバーを入れたとき下側が接触しました。30Φに拡大して対処します。
バイクのタンク用錆取液に4時間漬けました。右上が白っぽいのは、錆取り液の成分が沈む為トレイの上と下で効きが違ってくる為です。つまり底板はトレイに斜めに浸かってたということです。
注文していたボタンが到着しました。クリアボタン等は箱◯用オトメステになる予定!?
ボタンを取り付けました。プラネジがガワに干渉するくらいにギリギリでしたが、穴のバリ取りを頑張り過ぎガバガバだったので、上手くずらして6個全て入れることができました。
配線に入る前にレバーボールも取り付けてみます。この時点で興奮が収まらなかったので、ジャージを着て6㌔走ってきて冷静さを取り戻しました(子供かw)。
元の基板を再利用しますが、当然ボタンを直接ハンダ付けできません。ガワ下部の柱と柱の間に収まるように、パターンのない基板の端を します。
コントローラLSIの使われていないボタンは、誤反応が起きないようにH(ボタンを押していない状態)に接続されています。そのままボタンにつないでも反応しないので、該当ピンを跳ね上げ使える用にします。
基板をホットボンドでガワに止め(よくないかも)、ボタンをハンダ付けで配線します。SS用ゲームは、ほとんど"A-決定:B-キャンセル"なので、ファストンを使ったとしても配置変更することはまず無いでしょう。
完成しました!!追加したボタンうち、右端の2つが下がり過ぎですが、まあOKです。
裏面。錆もとれ、レバーの接触もありません。レバーシャフトが床に接触するのを防ぐ為、5mm厚の滑り止めスポンジゴムを使っています(現在は5mm厚硬質ゴム+元のゴム足)。
完成しました。
当時のスト2のコンパネを思い出します。友人と一緒にプレイしたとき2コンの方に押し出されたので赤を選択です。
レバーは初期入力が重くなります。ガンと押すように入れ、動きだしたら上下左右に引くようにすると軽くまわります。カチカチとしっかりしたクリック音も特徴です。ただ初期入力が重くなったため、プレイヤーの頭に血が登ってる状態で、慌ててダッシュ(左右に素早く二度入れる)やガード(ものすごい勢いで反対側に入れ、押しっぱなしにする)などの操作をすると、スティックがズレるようになってしまったのも事実です。
ボタンは、元から付いていたホリボタンからしてガタがほとんどなくストロークも長めのいいボタンでしたが、それらの特徴のより上を行く感じです。指に力をいれるとスッっと下に入り、さらに押していくときっちり底に付いた感触があり、『押してやったぜ!!』と満足できることうけあいです。
駐)RAVF/RAVF'以降のHORI製のボタンは、ガタが大きく押し返しの強いボタンや、サンワボタンの感触を真似したんだけど、強く叩くとすぐにヘタってしまう上にガタが大きくてカスカス五月蝿いボタンとか、いろいろ駄目ないわゆる『ホリボタン』になっていきます